魔法使いと魔女の初めて



先ほど、ようやくリザに「愛している」と伝えることができた。
やっと私のリザの間にわだかまりがなくなったのだ。
これからリザと支え合いながら、不器用な彼女を守りながら、彼女と一緒に生きていく。
今まで抑えていたリザを想う気持ちが溢れ出るようで止まらず、なかなか口付けを止めることができない。
ずっとこうして抱き締めて、リザに触れたかったんだ。
リザが苦しそうに息をするのも構わず、以前彼女が口付けを仕掛けてきた時を思い出して、一生懸命舌を絡める。
もっとリザに近付きたい。
リザの肩の怪我に気を付けながら、彼女を抱き締めたままベッドに押し倒す。
リザに私の体を押し付けると、服越しに自分とは違う温もりと柔らかさが伝わってくる。
まだまだ足りない。
服で隠されているリザの体を知りたい。
もっと深いところでリザと交わりたい。
「…リザ…」
「…マスタングさん…」
唇を離すと、リザが甘い吐息をはきながら、名残惜しそうに私の濡れた唇を舌で舐めた。
リザの頬はまだ涙で濡れていて、シャツの袖口で拭いてやると、彼女はくすぐったさそうに目を細めた。
「…やだ…もっと…」
リザが私の髪に指を差し入れて、近くに引き寄せ、もっととねだる。
「あのな…リザ…」
「なあに?」
首を傾げるリザと額と額を合わせ、深呼吸をする。
「…したい…」
「死体?」
「…なんで『死体』が出てくるんだ…。そうじゃなくて…性行為を…したい…」
「え?」
リザが大きな目を見開いた。
今まで、リザを瞬間移動させ強制的に退場させてまで、彼女の誘いを執拗に断ってきた私から言い出したことに、彼女は驚いているのだろう。
きょとんとして私を見ているリザの視線を受けながら、もっとムードのある言い方ができなかったものかと後悔する。
そして、今度はなかなかリザからの返事がないことに焦り、誘うのはさすがに早すぎたかと思い直す。
「…マスタングさん…やっとその気になってくれたのね!?」
しかし、しばらく無言だったリザは私の落ち込みを吹き飛ばすように、まるで花が咲いたようにぱあっと明るく笑った。
「いや…誤解は解けたし…一応、プロポーズもしたし…」
「私から言うものだと思っていたわ。まさかマスタングさんから言ってくれるなんて驚いちゃった…。嬉しい…!」
リザが私に勢いよく抱き着いてくる。
リザは嬉しいことを、恥ずかしがらずに、そのまま口に出す娘で微笑ましい。
なかなか素直になれない私は「今すぐしたい」や「リザが欲しくなった」とは言えず、リザの頭を撫でながら、ぶつぶつと言い訳を言っていた。
「マスタングさんの気が変わらないうちに、早くしないと!ね?」
リザは私の胸を軽く押し、シーツと私の隙間から抜け出して勢いよく上半身を起こすと、ベッドの上に座った。
誘ったものの、これからどうすればいいか分からず、私もリザに合わせて何となくベッドの上に座ってみる。
「…マスタングさん…」
「何?」
リザは私の膝の上に座ると、私の胸を両手でとんと押して、私の体をベッドに押し倒した。
「マスタングさん…何も怖がらなくていいわ。リザが優しく、うんと気持ち良くしてあげるから…大人しくしていてね」
そう言いながら、膝の上にいたリザは前に進んでよいしょと腹の上に尻を乗せ、私のシャツのボタンに手を掛けた。
「…ちょっと…ちょっと待て!」
私は慌ててボタンを外そうとするリザの手を掴んだ。
「なあに?やっぱり不安なの?」
「違う!この体勢はなんだ!?」
「え?」
「普通は性行為では女性が下!男が上だろう!」
「……リザがマスタングさんを食べるのに?」
リザが頬に人差し指を当てて、可愛らしく首を傾げた。
しかしそんな愛らしい仕草では騙されない。
リザを膝まで押し返すのと同時に、勢いよく上半身を起こした。
「こういうこと…性行為は…男がリードするものだろう?」
「普通はね。でも私は男の人にリードされるよりも、男の人をとろとろにして、気持ち良くしてあげる方が好きなの」
「じゃあ今日から普通になりなさい」
「…童貞にリードされても…」
「童貞じゃない!」
私から目を逸らしながらリザが小さな声で呟いた言葉に、思わず怒鳴って反論する。
「大体…君は怪我をしているんだぞ!下手に動いたら負担になるだろう!?」
「…そうだわ。すっかり忘れていたけど、私、怪我をしているんだったわ。…マスタングさんは怪我人を襲うの?」
上目遣いで問い掛けるリザから思わず目を逸らす。
リザはこういうことは経験豊富なくせに、いつまで経っても純粋な汚れていない目をしているから、まるで私が彼女に無理強いをしている気分になる。
「病み上がりのリザとこういうことをするのは本当は避けたい。体力を使うことになるからな。…でももう『欲しい』と意識してしまったから…我慢できそうにもない」
「なら、私に身を任せて…」
「だから!君が上になって動いて怪我が悪化したらどうするんだ!魔力の回復もまだなんだぞ。…大人しく下になって寝てなさい。私がいろいろ動くから」
「男の人の下敷きになって好き勝手されるなんて…私のプライドが…」
「リザ…下敷きになんてしないから…。…お願いだから、大人しく下になってくれ…」
不満そうに頬を膨らませるリザを抱き寄せて、白い首筋に顔を埋める。
「…こう見えても…実はすごく緊張しているんだ。このまま言い争っていたら、弱虫で意地を張る私は、本当に気が変わるかもしれない。そして、次に君を誘う勇気は…ないかもしれない…」
「…そんなこと言うの…ずるいわ…」
リザがより一層頬をむっと膨らませながら、彼女の首筋に埋めている私の頬を軽く抓った。
「…じゃあ、今回だけね。本当に今回だけよ」
恨めしそうに私を見ながら、リザが私の膝の上から降りる。
「ありがとう、リザ」
「まあ…マスタングさんになら押し倒されてもいいわ。一度だけだけど」
今回以外は全部リザに食われる形になるのかと嫌な考えが頭をよぎる。
それは置いておいて、さっそくリザを押し倒そうとすると、彼女は「待って」と私の胸を押し返した。
「今はまだ嫌。服くらい脱がせてちょうだい」
「ああ、そう…」
女性に服を脱がされるのは何だか気が進まないが、脱がし合いっこだと思えば微笑ましい。
「もちろんキスしながらね」
リザはそう言うなり、唇をふさいできた。
小さな舌が器用に口の中に入り込んでくる。
舌と舌を絡めながら、リザは上手に私のシャツのボタンを外す。
私もリザを真似て、慌てて彼女のワンピースのボタンに手を掛ける。
リザの無言の要求通りに腕を動かしていると、まるで魔法でも掛けたように、彼女はするりと私からシャツを脱がせてしまった。
私が腹まであるワンピースのボタンを苦戦しながら外している頃、リザは手慣れた仕草でベルトも外し、ズボンのファスナーも下げてしまう。
「ちょっと…ちょっと、リザ、待て」
「え?」
急いで唇を離し、リザがズボンを脱がせようとしていた手を掴む。
「ズボンと下着は自分で脱ぐから」
「いいのよ、脱がせてあげる」
「いや、いい。お断りします」
「えー…」
リザが文句を言う前に急いで下着ごとズボンを脱ぎ、床に投げ捨てた。
シャツはリザが脱がせてしまったから、私は全裸で、しかしリザはまだワンピースの前がはだけているだけという、とても嫌な光景だ。
どうしてまだリザの体を見ることはできず、私だけ全裸なんだ。
早くリザも裸にしてしまいたいが、ワンピースの構造がよく分からない。
「リザ…怪我に響かない程度にばんざいってして。はい、ばんざーい」
「ばんざい?」
リザがゆっくりと両腕を上に上げる。
スカートの裾を両手で掴み、膝から頭のところまでワンピースを持ち上げて、腕から服を抜き取る。
リザの黒いワンピースも私の服と同様に床に放った。
リザは黒いワンピースとお揃いのように、上下共に黒い下着を身に纏っていた。
「…私、小さい子供じゃないのよ」
「この方が早いだろ。はい、まだばんざいしてて」
「これなら自分で脱いだ方がいいわ…。焦らしながら脱ぐのとか、いろいろあるのに…」
ぶつぶつと文句を言うリザのキャミソールも脱がせてしまう。
リザは上半身にキャミソールしか身につけておらず、白い肌が眩しい。
まだあまり見ないようにしながら、リザを隠す最後の布に手を掛ける。
「…私もそこは自分で脱ぎたいわ」
リザの言葉を無視して、まずは怪我をしていない片脚から脱がせてしまう。
リザはしぶしぶといった様子で、腰を浮かせたり脚を伸ばしたりして手伝ってくれた。
そして、足首を怪我している方の脚からそっと下着を抜き取る。
これでようやく二人とも裸になった。
私の向かいで脚を折り曲げて、ちょこんとシーツの上に座るリザの姿を改めて見る。
肩と足首に巻かれた包帯が痛々しい。
しかし、そんなものはリザの裸体の前では霞んでしまう。
女性らしい優しくふっくらとした体の線に目を奪われる。
健康的な体つきだが、まだ成長期にいるリザは、肩も腹も腕も、少女らしく薄くて細い。
しかし、華奢なくせに胸や太ももにはしっかりと柔らかそうな肉がついていて、それらの触りたくなるような丸みは、男性ならば誰もが誘惑されそうな造形をしている。
「彫刻みたいだ…いや、彫刻より綺麗だ…」
「そんな、大袈裟だわ」
大袈裟ではない。
甘美なまろやかさと繊細な引き締まりのある、こんな美しいものは今まで目にしたことがない。
いつも側にいた少女がこんな魅力的な体を服の下に隠していただなんて。
恥ずかしそうに笑う少女の白い体が、窓から差し込んだ夕日に照らされている。
この少女はこれからもっと体も心も成長して輝き、世の男を夢中にしていくのだと思うと末恐ろしい。
「…すごくきれいだ」
想像を遥かに超える裸体が目の前にあり、思わずリザを強く抱き締めた。
自分と異なる体温が伝わり、リザの胸の膨らみが私の胸板に押し潰されて、それが愛おしい。
「そういえば、まだ明るいが…恥ずかしくないか?」
「恥ずかしくないわ。マスタングさんがよく見えるから明るい方がいい」
普通の女性ならば明るいと恥ずかしがるものだと思うが、さすがリザは違う。
そして、私がリザをじっくり見れるように、彼女も私を見ているのだと気付く。
「マスタングさんの体…温かいのね」
「リザは少し冷たいな」
「それに、意外と引き締まっているのね。…男らしくてとっても素敵…」
リザがうっとりと囁いて首筋に擦り寄ってきた。
ショートヘアが肌をくすぐる。
リザの指は私の腹筋を撫でていた。
「そりゃあ…一応鍛えているからな。魔法を使うと魔力も減るし、体力も失う。体力勝負な魔術もあるだろう?」
「箒で飛ぶのは走るのと同じくらいの運動になるのよね。…よくマスタングさんが行き先もないのに空をぐるぐる飛んでいると思ったら…体型維持のためだったのね」
「体型維持じゃない。体力をつけるためだ」
「マスタングさんらしいわ」
リザの指が腹から胸までをなぞり、そして次に、体を厚みを確かめるように背中に腕を回した。
「頼もしい体…大好き…」
凹凸のないつまらない体より、リザの甘い曲線や膨らみがいっぱい詰まった体の方が魅力的だと思うのだが。
私もリザの背中に腕を回し、そして、ゆっくりと彼女をベッドに押し倒す。
指をぱちんと鳴らして、ベッドの上から術書と服を浮遊させ、床に降ろす。
裸のリザがシーツに埋まっているだけであまりに素晴らしすぎて目眩がしそうだ。
それから、首筋に顔を埋めると甘い香りがして酔ってしまいそうだ。
思わず舌を出して舐めてみると、リザがくすぐったさそうに肩をすくめた。
ふと、左肩に巻かれた痛々しい包帯が目に入る。
「肩…痛くないか?」
「大丈夫。平気よ」
「どこか痛くなったらすぐに言うんだぞ」
「マスタングさん、心配しすぎだわ」
私は真面目に心配しているのだが、リザはおかしそうにくすくすと笑う。
包帯の上からでも分かる傷口に、労るようにそっと口付ける。
リザはこんな小さな体で、人間達の暴力に耐えてきたのだ。
「あのね…マスタングさん」
傷口に口付けている私の頭をリザの指が撫でる。
「傷は…気にしないでほしいの。もうあまり痛まないし…。それに、マスタングさんがちゃんと治してくれるんでしょう?」
「そうだな…。傷痕を残さず、元通りに、きれいに治すよ」
リザの言う通りだ。
あまり心配してもリザが気を遣うだけだと気付いて、彼女の怪我を気にするのはやめた。
この雰囲気を変えようと、勇気を振り絞って勢いよく胸に手を伸ばす。
胸に触れると、リザが甘い吐息をもらした。
服の上からでも分かる二つの膨らみは、十五という年齢にしてはふくよかで、そして、いつまでも見ていたいような甘い線を描いていた。
乳房はまるで造り物のように綺麗に丸い形をしており、張りがある。
弾力があるのだが、触ってみると指が沈み込んで驚く。
リビングにある高級なクッションよりもふわふわしている。
女性にしかない魅惑的な柔らかさに虜になってしまいそうだ。
「うふふ」
「…何?」
「あのね、くすぐったいの」
美しい乳房の形を確かめるように触っていたのだが、それはリザにとっては気持ち良いわけではなく、くすぐったいようだ。
物珍しいものに夢中になる子供を優しく見守る母親というようなリザの態度に、少しだけ腹が立つ。
確かに、経験豊肥なリザは、これでは物足りないだろう。
じゃあ、これはどうだ。
「…ひゃ…っ」
急に胸を鷲掴みにして強く揉むと、リザの驚いたような声が上がる。
指がどこまでも埋まっていきそうで気持ちいい。
リザも気持ちいいのか、小さな唇から熱っぽい吐息をはく。
指の間にある胸の中心がだんだんと固くなってきて、そこを軽く摘んでみると、リザの肩が跳ねた。
「…気持ちいい?」
リザが小さく頷く。
「…ふ…っ、あ…」
思いきって舌で桃色の突起を舐めてみると、可愛らしい声が聞こえてくる。
そんなはずはないのに、リザの白い肌は甘い。
まるで熟れた果実だ。
甘美な香りと、綿菓子のように柔らかな肌の上を舌でなぞる。
まるで食べてしまうように大きく口を開けて乳房に軽く噛み付くとリザの息が一気に乱れる。
二つの膨らみを唾液でべとべとにしていると、ふと、リザの細い指が私の両方の耳をくすぐった。
熱い指先が耳たぶに触れると背中がぞくりと震え、驚き、口に含んでいた胸の突起を思わず強く噛んでしまった。
「…あ…っ」
胸の突起を噛まれたリザが小さな叫び声をあげる。
「す、すまん!大丈夫か!?」
「大丈夫…私が悪いの。…うふふ、マスタングさん、髪がさらさら。それから耳が弱いのね。ねえ、舐めてもいい?」
「…今度な」
「……私ばっかりされるのは嫌…」
リザがまた頬をぷっくりと膨らませるが、それを無視して愛撫を再び開始する。
正直、私は腐っても男だし、男のプライドがあるし、百戦錬磨だか知らないがリザにいいようにされるのは嫌だ。
リザの呼吸が荒くなるところを探して指と舌を動かしていると、彼女は少し痛く愛撫した方が好きなことに気付く。
先ほど間違って噛んでしまった時も、リザはあまり痛そうではなかった。
試しに胸の尖りを爪で引っ掻いてみると、リザは喘ぎながら目に涙を溜めた。
私の唾液で汚れた胸が呼吸をする度に上下に揺れ、とても淫らだ。
リザの体があまりに神聖で触ることぐらいしかできなかったが、だんだんと慣れてくると、綺麗な肌を汚してみたくなる。
「…う、ん…っ」
キスマークをつけてみようと下手くそながらも真っ白な胸元に吸い付くと、リザが痛みを訴える小さな声をあげた。
やはり痛いようだ。
「すまん…。痛かった?」
「ちょっと…。それに上手じゃないし…でも、嬉しい…」
リザが私の頭を両手で引き寄せて、本当に幸せそうに口元を思いきり緩ませた。
「そうか…」
リザがあまりにも嬉しそうで、私は調子に乗り、止めることなく今度はもっと優しく痕を残す。
リザが熱っぽい息をはくのが堪らず、止まらない。
気付けば胸元は赤い痕がたくさん散らばっている。
私が痕をつけ、そして白く綺麗な肌を私が汚したということが、無意識のうちに私の独占欲を満たす。
「あの…マスタングさん?」
少し体を下にずらして真っ白な腹に口付けると、リザが不思議そうな声を上げた。
「リザの体中にキスしたい気分なんだ」
「…まあ、マスタングさんったら…大胆ね…」
リザはいつものように口元に手を当てると、嬉しそうにくすくすと笑った。
腹も、人間達が投げ付けた石によって傷付いて痣になったものがいくつかあり、早く治るよう願いを込めて口付ける。
体をどんどん下に下げていくと金の茂みが目に入ったが、まだそこに触れる時期なのか分からず、太ももに吸い付いた。
太ももも乳房のように肉付きがよく、美しい形をしている。
指で掴んでみると、引き締まっているのに柔らかく、太ももを枕にして寝たらさぞかし幸せだろうと思った。
足首を怪我していない方の脚を手に取り、持ち上げ、丸い膝、細いながらもしっかり筋肉のついたふくらはぎ、小さな踵を舌で舐めていく。
「なあ…リザ…」
「…な…に?」
脚を舐められて静かに甘い声で鳴いていたリザが、吐息交じりに答える。
「体…すごく熱くないか?」
胸を愛撫していた時から、ずっと気になっていたことを口にする。
リザの体は頭からつま先まで、まるで発熱したかのように熱い。
リザの頬は赤く、いま手にしている小さな足ですらも、こちらに熱がうつってしまいそうなほど燃えるように熱い。
「そ、そういう体質なの…。よく分からないけど…男の人に触られると体がすごく熱くなるの…」
「そうなのか…熱でもあるみたいだ」
「…マスタングさんに触られているから余計に熱いのかもしれないわ」
さりげなく可愛いことを言うなと思いながら、ふと広げた脚の間にある女の部分に目がいった。
柘榴に似た色のそこは濡れて光っていた。
まだあまり触っていないのに、遠くから見ても蜜が溢れているのが分かるのは、リザの感度が良いからだろうか。
魔女は昔、人間の肉しか口にできず、人間達を騙して家に招き込み、窯で焼いたり大きな鍋で煮たりしていたという。
特に人間の男相手には、体を使って家に誘い込んだという伝承がある。
それから、昔、魔女は性行為をして人間の男から精力を奪っていたという話も聞いたことがある。
今の魔女はそんなことはしないが、性行為が身近だった昔の血は消えず、魔女に生まれた者は元から感度が良いのかもしれない。
「……そこにもキスしてくれるの?」
「そこって?」
「今、マスタングさんが興味心身に見ているところ」
「…さあな。女の子がそんなはしたないことを言うな」
「私、はしたないもん」
「私が教育してやる」
「奥手なマスタングさんが、この私に教育なんて無理よ」
尖った口調でリザが言う。
リザが少し不機嫌になってしまった。
そっぽを向いたリザを見て、彼女の照れ隠しなのかもしれないとやっと気付いた。
リザは体が熱くなるのも、感度が良いのも、弱点のように思っていて、私に知られてしまったのが恥ずかしいのかもしれない。
男に組み敷かれるのも嫌がるプライドの高い少女だから多分、当たりだろう。
本当はリザのことをはしたないとは思っていないし、それに、はしたなくても可愛らしいと思う。
触れられると体が熱くなり、それから感度が良いリザの体質も愛おしいと思える。
「マスタングさんっ!?」
「ん?」
喧嘩をしていても仕方がないし、リザと抱き合うという夢にも近かったことを実現させているのだから、気にせず進めようと、怪我に気を付けながら彼女の体をひっくり返すと、彼女が驚いたように声を上げた。
「ま、待って…背中は…」
珍しくリザが動揺している。
傷のことを気にしているのだろうか。
猟銃で撃たれた肩と足首の傷もひどいが、鞭で打たれた背中の傷が一番痛々しいと思う。
本来ならば白くすべらかなはずの背中に、いくつもの赤く腫れた線が刻まれたように存在し、見ているこちらの胸が痛む。
「背中…痛いのか?」
「違うの…でも駄目…」
「なら、少しでいいから触らせてほしい」
「…や、やだ…」
リザの言葉を無視して、背中に覆いかぶさり、ここにも傷口が綺麗に消えて早く治るよう祈りを込めて、傷口に沿って舌を這わせる。
「…や…っ!」
怪我をしていない部分に唇で吸い付くと、リザが急に高い声を上げた。
「リザ…?」
「背中…やめて…!」
リザの体は先ほどから小刻みに震えている。
リザの体の熱が一気に上がった気がした。
「リザ…痛いんじゃないんだよな…」
「痛くない…。…でも、もうやめてほしいの…」
「まさか…背中が弱いのか?性感帯…ってやつか…?」
リザは少し躊躇ったあと、唇を噛んで恥ずかしそうに頷いた。
両目には涙が浮かんでいて、それを指で拭ってやる。
「気持ちいいなら…いいじゃないか」
「駄目よ…気持ち良すぎて駄目なの…」
「…ふうん」
いいことを聞いた。
リザ自らが弱点を言うなど失態だ。
再びリザの背中を舌で責める。
「…や、やだぁ…!」
涙交じりのリザの声が部屋に響く。
リザはシーツを両手で強く握っていた。
これでようやく女性を組み敷いている気分になれた。
「いや…嫌なの…っ」
背中を甘噛みすると、リザが短いショートヘアを振り乱す。
唇を噛み締めて声をもらさないようにするリザの汗ばんだ横顔が美しい。
ふと思い立って、押し潰されている胸を掬って揉んでみた。
左胸を掴むと、心臓の鼓動がどくどくと鳴っていて激しい。
「お願い…本当に駄目なの…やめて…」
「嫌だよ」
「もう…っ!変になりそう…!」
胸を揉みながら背中を舐めると、自分が一気に性行為の上級者になった気分で楽しい。
リザも今まで一番気持ちいいようで、背中を舌の腹でぺろりと舐める度に涙を零しながら喘いでいる。
背中を舐めていると、リザは体をびくびくと震わせ、そして太ももを擦り合わせているのに気が付いた。
そろそろ難関の部分であるあの場所を愛撫するべきだろうか。
リザは背中が気持ちいいと言っているが、さすがに背中だけでは絶頂までいけず、焦らしているようなものかもしれない。
背中を愛撫するのを止めて、再びリザの体をそっとひっくり返す。
「…リザ…大丈夫か?」
目が合ったリザの顔は真っ赤で、頬はまるで林檎のようで、思わず額に手を当てた。
これは確実に熱がある。
「怪我に影響はないのか?」
「ないわ…。…だけど、ひどいわ…。やめてって言ったのに…」
「すまん。可愛かったんだよ」
リザの頬に伝う涙を、シーツを引っ張って拭う。
リザの呼吸が落ち着いたところを見計らって、深呼吸をしたあとに彼女の両脚をそっと開いた。
その真ん中にある女の部分に、時間を掛けて、恐る恐る顔を近付ける。
金の茂みに守られているそこは、女の匂いが香る。
そこは相変わらず濡れて光っており、そして先ほどよりも蜜が溢れていた。
よく見ると尻の方まで蜜が伝っている。
「これは…濡れすぎじゃないか…?」
こういうことに疎い私でも分かる。
まだ激しい刺激は与えていないのにこんなに蜜でいっぱいになっている。
そっと指をぬかるみに埋めるとすぐにたっぷりと蜜が纏わり付いて、上下に動かすと淫らな水音が立つ。
指を細かく動かしながらようやく膣を見つけだして指を第一関節まで入れると、リザの中はすんなりと私の指を飲み込んだ。
「だから…そういう体質なのよ!あんまり見ないで…っ!」
リザが恥ずかしそうに抗議をしながら、まじまじと彼女の内股の間を見ていた私を上へ引っ張る。
リザは、私が下を見ないようにか、私の首にがっしりと両腕を回した。
胸を愛撫していた時のような体勢に戻る。
「もうちょっとよく見ておきたかったんだが…。これじゃよく分からない…」
「じゃあマスタングさんのも見せて!そして触らせて!マスタングさんばっかりいろんなことして、ずるいわ!」
女の子が何を言うんだと思ったが、そう言い放ったリザの顔は真剣だ。
よほど恥ずかしいのだろう。
「何を言い出すんだ…。分かったよ」
目で見ず、手探りで愛撫をするなんてあまりにも高度な技術で、そんな技術は持ち合わせていないが、不器用ながらも指を動かす。
リザは私が動かないようにか、ぎゅっと私に抱き着いていた。
「…あ、ここは…」
「…ん…っ!」
私にしがみついていたリザが喉を大きくのけ反らせた。
中指を上下に動かしていると、指先が突起に当たり、そこを刺激してみたのだ。
確かここはとても敏感な部分のはずだ。
リザと交わる前に、彼女の体をほぐすために、彼女は一度絶頂まで達した方がいいだろう。
蜜をまぶした指で突起をくすぐるように触る。
「あぁ…っ、ん…!」
背中を舐めていた時よりもリザの反応がいい。
ぐるぐると円を描くようにして弄ってみる。
「…やっ、マスタングさ…!」
リザの脚がぎゅっと私の腰を挟み、しなやかな脚が絡み付いてきた。
強すぎる快楽に耐えられず、辛そうに眉を歪ませ、唇を噛めずに甘い声を上げているリザの姿があまりにも艶めかしい。
「あ…っ…わ、私…!もう…っ!」
尖りを突いたり引っ掻いたりしていると、リザがより一層強く私を引き寄せた。
リザの豊かな乳房が私の胸板に押し潰されてぐにゃりと形を変える。
「ふ…っ、あぁっ!」
突起を指で摘んで押し潰すと、一際大きな声を出したのと同時に、リザが体を硬直させた。
しばらくしてリザは体の緊張を解き、力の抜けた腕や脚をだらりとシーツの上に置いた。
リザは達したらしい。
額や頬だけではなく体にも汗をかいており、まだ動けない様子のリザの代わりにシーツで汗を拭いてやる。
リザは目を閉じて呼吸を整えていた。
息をする度にふっくらとした胸を揺らして、汗ばみ上気した顔で、乱れたシーツの上にいる姿は、とても少女には見えない。
「…気持ち良かったけど…」
「けど?」
まだリザの上に覆いかぶさりながら彼女の乱れた前髪を梳かしていると、彼女が目を開いて、けだるげに唇を開いた。
何か不満があるようだが、とりあえずちゃんとリザが気持ち良いと感じたことに安心する。
「私がマスタングさんに何もできていないのは悔しいわ。マスタングさん、今度は私の番ね」
「えっ!?」
リザの手がするりと伸びてきて、器用なことに、いきなり自身を掴まれた。
突然リザの細い指に触れられ、腰がびくりと跳ねる。
「リ、リリザっ!?」
「ねえ、気持ち良くしてあげる」
「い、いいから」
シーツから起き上がろうとするリザの肩をシーツに強く押し付け、自身に絡み付く指も何とか無理やり解く。
「えー、どうして?」
リザが目を細めて不満げに私を見る。
どうしてって、このままリザに愛撫をされたら果ててしまいそうだ。
リザの看病を始めてから長いこと処理をしていないし、今はリザの媚態を見ただけで見事に元気になってしまったのだ。
最初なのだから、リザの中で果てたい。
「いや…もう準備はいいから。…今すぐ入れたいんだ。駄目か?」
額と額をこつんと合わせ、格好悪いが、紅茶色の瞳と目を合わせて懇願する。
「…またずるいことを言うのね。…今度は絶対にリザにさせてね」
「分かった。…あ、しまった…避妊具がないな」
「大丈夫、今日は平気な日よ」
リザが私の首に腕を回すと、私の顔をぐいと引き寄せた。
「…どうぞ、入れて…」
リザは拗ねていた顔から一転させ、私を言葉で誘って、十五とは思えないほど艶やかに笑った。
ついにリザと交わるこの瞬間がきた。
心臓の鼓動がどくどくと激しくなる。
そそり立つ雄の先端を、慎重に膣の入り口に宛がう。
「…あ…っ」
「えっ?」
リザが小さく声を上げ、私まで驚いてしまう。
「どうした?」
「すごく熱くて…びっくりしたの…」
「…リザも熱いよ」
腰を掴む私の腕を、リザはまるで幼子が母親に縋るように、指でぎゅっと握った。
細い脚も、私の腰に離さないといったように絡み付く。
実は、女性と性行為をしたことは過去に三回ほどある。
皆、人間の女性で、そして私よりも年上だった。
師匠に弟子入りする前、人間の母を亡くした私は、魔法使いの父と一緒に魔法使いしか住まない世界にいたことがあるのだが、魔法使いと人間の間に生まれた半人前の私は周囲にいじめられてばかりだった。
どこへ行っても蔑まれる怒りをどこにぶつけていいか分からず、私は誰にも笑われることのない人間界へ、よくこっそり飛んで行った。
そして、私の外見を見ただけで言い寄ってきた性欲を持て余した人間の女性を、どうにでもなれという気持ちで抱いた。
女性達はかなり性行為の経験があるために、私が初心者でも乱暴に抱いても平気だった。
しかし、愛していないひとを抱くのは意味のない行為だとすぐに分かり、人間界で女性を抱いたのは数回だ。
そして、それから父の元を離れ、師匠に弟子入りしてからは女性と関係を持ったことは一切ない。
私は魔術の勉強に夢中だったし、何より抱きたいと思う女性がリザ以外に現れなかったのだ。
つまり、女性を抱いたのは遥か遠い昔の話で、今はもう相手の顔もうっすらとしか思い出せず、行為自体を忘れかけている。
ちゃんと女性を抱くのは今回が初めてで、初体験の相手はリザだと言ってもいい。
深呼吸して鼓動を落ち着かせる。
過去を回想して優しく扱えるか悩んでいた私の不安がリザにも移ったのか、先ほどまで笑っていた彼女も表情も固い。
「何か変だったら…すぐに言ってくれ」
「…うん…」
私が無理やり笑ってみせると、リザもかすかに微笑んでくれた。
あまり時間を掛けてのろのろとやっていると、経験豊富なリザからしたら物足りないだろうし、何よりこれ以上格好悪い男だと彼女に思われたくない。
括れた腰を両手で掴み、先端を小さな膣に何とか収めると、迷いは捨て、躊躇することなく一気に腰を押し進めた。
リザの中の熱さにも驚いたが、彼女の膣の狭さにも驚いてしまう。
まるで食いちぎられてしまいそうなほどきつい。
これではリザが雄を拒絶しているようだ。
リザはまだ成長段階にいる未熟な体の少女のため、十も離れた大人の男を受け入れるのは難しいのだろうか。
ちゃんと膣の中も指でほぐしておけば良かったと後悔しながら、最奥を目指してさらに腰を動かし、リザの中に入り込む。
「…あ…っ、いたい…っ」
「え?」
リザが小さい悲鳴を上げるのと同時に違和感を感じた。
自身でリザの中の何かを引きちぎったような気がしたのだ。
まさかと思って、少しだけ膣から自身を抜いてみる。
自身は鮮血にまみれていた。
これは私のものではない。
リザの血だ。
「リザっ!?」
「…う…っ」
リザを見ると顔を真っ赤にして涙をぼろぼろと流していた。
「君…処女だったのか…!?」
「…は…っ、あ…」
眉をぎゅっと寄せたリザは、私の問い掛けには答えず、苦しそうな声しか発することができないようだ。
リザの呼吸が浅くて早い。
「待て、いま抜くから…」
「…だ、だめ…!」
リザが私の腕を力無く掴んだ。
「このまま…元に戻して…抜いちゃ、だめ…」
「しかし…」
「…最後までして…」
「じゃあ…とりあえず痛みを取り除く魔法を掛けるぞ」
「それも…それもいや…」
「なんでだ!?痛いんだろう!?」
「痛くて辛いけど…痛い方がいいの…お願い…」
「…リザ…」
リザは私が話すとその声が体に響き、そして自らが話すのも負担になるのか、冷や汗をかいてとても苦しそうだ。
話したいことは山ほどあるが、それはあとでだ。
リザの体の中に再びゆっくりと自身を埋め、そして彼女の上に覆いかぶさる。
リザは助けを求めるように、すぐに私の首に腕を回した。
こういう時にどうすればいいのかさっぱり分からない自分に腹が立つ。
ふと、背中に腕を回した時、リザは背中が弱いことを思い出して、そっと撫でてみた。
「や…っ、背中、だめ…っ」
「痛いよりいいだろう?」
「…んーっ…」
リザの背中の傷口は手当てで何度も見てきているから、もう見なくても傷を避けて撫でることができる。
背中を撫でる度にリザは辛そうな吐息と共に、しかし快楽を滲ませた声で小さく喘ぎ、膣を締め付ける。
容赦なく絡み付いてくる湿った膣に収まった自身を、つい動かしたくなってしまう。
「リザ…すまない…。少し、力を抜いてくれないか」
「あ…ごめんなさい…」
「いや、いいんだ」
片手で背中を撫でながら、左手でリザの頬を伝う涙を拭ってやる。
しばらくして、リザは呼吸が楽になったようで、だいぶ落ち着いたようだ。
私を押し返すように締め付けていた膣も、少しゆとりができたような気がして、今はまた蜜でたっぷりと潤っている。
「もう話をしてもいいか?」
「…大丈夫…」
自身を動かさないように注意しながら、リザに話し掛ける。
「…どうして君は処女なんだ?」
「簡単よ。経験がないから」
「経験がないって…だって今まで人間達と遊んできたんじゃないのか!?」
「遊んできたわよ。でも、ここまではしたことがないの」
「…どこまでしたんだ?」
やはりこのじゃじゃ馬娘を理解するのは難しいと、やや飽きれながら尋ねる。
「例えば…馬小屋の中にこっそり入って、藁の上に座って…キスをして、体を触り合って、舐め合って…それでお互いに気持ち良くなったらおしまい」
「一度も入れずに終わっていたのか…?」
「うん」
「入れたいという男はいなかったのか?」
「いたわ。でも、最後までしてもいいっていうひとに巡り会えなかったの。だから、その時は口で舐めてごまかして…あ、もちろん指も使って…」
「つまり口や指で処理して逃げてきたんだな?」
「そう。私、とっても上手なのよ。誰もが骨抜きで、すっかり私の中に入ることを忘れていたわ」
「…そういえば、骨抜きって言えば…リザは『私と親しくなれば私しか見えなくなる』とか言っていたよな?嘘をついていたのか?」
「嘘なんかつかないわよ。マスタングさんが私しか見えなくなるのは本当よ。私、きっと動くのが上手いと思うの」
「…処女の想像か」
「それにね、舐めるのも上手だし、指でするのも得意だし…体中にキスをするのも好きだわ。とにかく上手なの。…それに、今、リザの中、気持ち良くない?」
「それは…気持ちいいけど…」
確かにリザの中は、熱くて狭くて最高に気持ちいい場所だ。
けれど、それよりも、リザが快楽を感じる姿があまりにも美しく、そちらに見惚れ、その姿に虜になって彼女しか見えなくなりそうだ。
「君がふしだらなのか純潔を守ってきたのか、よく分からないな…」
「どっちだっていいわ」
「大体、リザはどうして処女のことを黙っていたんだ。大事なことじゃないか。知っていたらもっと慎重にしたのに…」
「…マスタングさんのことだから、慎重になりすぎて結局私を抱かないかもしれないわ。『師匠の娘に手を出せない』なんて言いそうだもの」
確かに、なかなか決心が付かない臆病な私に、その可能性は十分にある。
「それに、私、処女じゃないだなんて言ったことないもん」
「でも君の行動は誤解を生むだろう!」
「マスタングさんが私が処女かどうかを確認するチャンスはいっぱいあったわ。なのにその度に断ったじゃない」
「…あのね…とにかく、私はな…もっと優しく君を抱きたかったんだよ…」
「…いいの。これで。処女だとばれて腫れ物を扱うようにされるより、マスタングさんがやりたいようにやってくれた方が良かったの」
リザが冷や汗を浮かべながらも久しぶりににこりと笑った。
「…痛みは?」
「…まだ少し痛いわ」
「痛いを取り除く魔法、どうしても使っちゃ駄目なのか?」
「駄目…。あのね、痛い方が嬉しいの。この痛みを消したくないの。…リザのわがまま、聞いて…お願い…」
細い腕で首に抱き着かれながら、切ない声でお願いされると弱い。
「じゃあ…このままするぞ?というか…していいのか?」
「して…。私は大丈夫だから」
リザはそう言うと、わざと体に力を込めて私を締め付けた。
爆発寸前の自身をずっと小さな膣に入れたままで今まで動かず、もう我慢の限界だ。
「…無理だったら言うんだぞ」
「うん」
そう答えているが、リザはどんなに痛くても何も言わずに耐えるのだろう。
「少し痛い」と言っていたが、本当はかなり痛いはずだ。
しかし、ずるい私は優しいリザに甘えてしまう。
首からリザの腕を解き、上半身を起こすと、彼女の細い脚を抱え込んで、なるべく痛くないようゆっくりと腰を動かす。
「…あ…っ、う…」
「大丈夫か…?」
「…だい、じょうぶ…っ」
脚を抱えて腰を動かしながら、金の茂みに隠れた突起を刺激するのは難しいが、リザへの愛撫を続ける。
リザは痛みを感じつつも気持ちいいようで、時々熱っぽい息をはいて体をくねらせる。
「…あぁ…っ」
リザが首をのけ反らせて白い喉を晒す。
私が体を揺さ振る度に、丸い胸が揺れて淫らだ。
この細い腰を雄という凶器で貫いているという事実だけで気持ち良く、体の芯が快楽に震える。
私の限界はもう近い。
「…マスタングさん…っ」
痛みと快楽に翻弄され固く目をつぶり、助けを求めるように私のことを呼ぶリザに見惚れていると、突然中を強く締め付けられた。
歯を食いしばって声を抑える。
「…リザ…っ」
「…え…マスタングさん…?」
慌ててリザの中から自身を引き抜き、血の混じった精液を彼女の真っ白な腹の上に放った。

情事の処理を終えると、リザは裸のままベッドの上に俯せになってしまった。
「…その体勢が一番楽?」
「…うん…」
「怪我に影響は?」
「…ない…」
やはり下腹部がかなり痛むのだろう。
リザにブランケットをかけてやると、私も裸のままベッドにもぐりこみ、彼女に寄り添うようにして横に寝て、彼女をそっと抱き寄せる。
背中を撫でるとリザの肩がぴくりと跳ねた。
「…マスタングさん、だから、駄目…」
「だから、痛いよりいいだろう」
「…気持ち良くなっちゃうもん…」
「それより眠くないか?」
「…ねむい…」
リザが小さくあくびをしながら答えた。
病み上がりのリザにかなり体力を使わせてしまったため、彼女はかなり眠いはずだ。
そもそも、リザの体は魔力と体力を回復を求めており、彼女は寝ていたのだった。
「無理をしたし…というか無理をさせたから…。すまない…」
「ううん、私が悪いの。それに私が望んだことだもの」
気付けば先ほどまで夕日の差し込んでいた部屋は暗く、窓の外はもう夜になろうとしていて、指を鳴らしてカーテンを閉めた。
部屋が暗闇に包まれ、見えるのはリザだけだ。
「いま寝たら…何時に起きるのかな…絶対に夕食に間に合わないわ…」
「今日くらいいいだろう。ゆっくりしよう」
「マスタングさん…私、寝たくない…。せっかくのマスタングさんとの初めて…このまま終わるなんて…」
リザは不安そうに私の手をぎゅっと握った。
「仕方ないよ。今のリザの体は眠りを求めているんだ。嫌でも寝ないといけない」
「やだ…寝るのが嫌…これが全部夢で、嘘だったらどうしよう」
「夢じゃないよ」
「幸せすぎて寝るのが怖いだなんて変な気分…」
「変だな」
「起きたら消えていない?」
「ない」
「起きても『好き』って言ってくれる?」
「…言う…かな」
「本当に?」
「本当だ。何も心配することはないから、寝なさい」
「…うん…」
リザは強制的に眠らせようとする体の意志に逆らって頑張って瞼を上げていたが、とうとう目を閉じた。
「マスタングさんと仲良くできたの、とっても幸せだけど…マスタングさんが初めてじゃなくて残念」
「…分かるのか?」
「分かるわ」
「女…いや魔女の勘は怖いな」
「ふふ。でもね、マスタングさんを一番気持ち良くさせるのはリザだもん」
「…ああそう」
「……マスタングさん…」
「何?」
「だいすき…」
「うん」
「…すき…」
そう言うと、リザは灯りが消えた蝋燭のようにふっと意識が途切れ、とうとう眠りの世界へと落ちてしまった。
おしゃべりなリザはどこへ消えたのか、彼女はまた人形のようにびくともせず眠っている。
「…私もだよ」
リザの小さな体を抱き締める。
一緒に生きると決めた直後に、こんなにも衝撃的な出来事で私を驚かせるなんて、私の小さな妻はやってくれる。
これからもこの娘は事あるごとに私を驚かせて、決して私を飽きさせないのだろう。
それは恐ろしくもあり、それ以外に楽しみでもあり、愛しいひととの新しい日々に胸を弾ませながら、私も目を閉じた。








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