※大人向けの話を置いています

一羽の雛鳥の話(14/08/10)  
自惚れてしまう理由(14/08/16)  
雛鳥の休息(14/08/27)  
愛おしくてたまらない(14/09/07)  
短文 その1(14/09/14)  
短文 その2(14/09/15)  



 


「リザ、いつものように服を脱いでごらん」
「…はい、旦那様」
兄はお気に入りの使用人に「旦那様」と好んで呼ばせており、その光景を目にする度に下衆な奴だと思っていたけれど、リザに出会ってから兄の気持ちが理解できてしまった。
まるで生まれたばかりの雛が何の疑いもなく親を慕うように、「旦那様」と呼ばれてすべての命令に従われてしまうのは、頭がおかしくなりそうなほど心地よくて、いや、実際に頭がおかしくなったのだ。
この世で一番嫌いな父や兄がしているように私は使用人に手を出して、こうして今も懲りずに抱こうとしているのだから。
私の可愛らしいメイドは、ローファーを脱いできちんと揃えてからベッドに乗ると、いつものようにシーツの真ん中に横座りになった。
恥ずかしそうに目を伏せて、三つ折りの真っ白な靴下をゆっくりと脱ぎ始める。
靴下を脱いでもさほど露出が変わらないけれど、リザはそれでも躊躇いながら靴下を脱いでいく。
私はリザのすぐ向かいに胡座をかいて座っていて、特等席で彼女の体から布が消えていく様子を眺める。
私はマスタング家が嫌いだけれど、女性の使用人の制服が膝丈の黒いワンピースと白のフリルのエプロンだというところは唯一好きだ。
とても長い時間を掛けてエプロンを取り去り、さらにリザはワンピースを脱ぎ捨てる。
「ああ、下着は着たままでいいよ」
ショーツの紐に指を絡めるとリザの目元が赤く染まる。
清楚なメイド服とは不釣り合いな露出の高い下着をリザは纏っている。
この下着を受け取った時、リザは「このレースのリボンは何ですか?」と言っていたっけ。
肌が透けてしまうほど生地が薄く繊細なレースが、いかにも清純そうな少女の体を申し訳程度に隠している姿はひどく扇情的だ。
「ほら、足を開いて。まったく、いつも言っているだろう?」
「…ごめんなさい…」
リザを初めて抱いた夜から、狂ったように毎晩続けて彼女を貪っていて、その数はまだ片手で数えられるほどだけれど、彼女に要求する行為はいつも同じだ。
賢いリザは、私が何を求めているのか分かるはずだが、いつも私が命令を口にするまで待つのは、相当な羞恥に襲われているからなのだろう。
しかしリザは拒否するということを知らない娘で、私が命令をすれば、意に背くことでも従う。
金色の睫毛を震わせて、リザは膝を立てて太ももをゆっくりと広げた。
私が教えた通りに、両腕を真っ直ぐに伸ばし、体の後ろに手の平をつく。
まるで下着に隠された女の部分を私に見せつけているかのようなリザの姿に、下半身がじわりと熱を持つ。
「良くできたね、いい子だ」
褒められて嬉しいのか、緊張のせいで強張っていたリザの表情がわずかに和らいだ。
リザの体は年相応に頼りなく、しかし胸だけは、細い肩と控え目に肉がついた薄い腹に見合わず、形が丸くてふわふわと柔らかい。
下着の上から胸に吸い付いて乳首を舌で転がすと、だんだんと固くなり布を押し上げる。
唾液の染みた下着が桃色の乳首に張り付き、形が分かるほどにうっすらと透けている。
「見てごらん、下着の上からでも良く分かるね」
「…旦那様…」
そんなことは口にするなと抗議の言葉を続けたいに違いないが、リザは私に歯向かえない。
リザは唇を噛み、恥ずかしい光景を遮断するように瞳を固く閉ざしたままうつむいた。
リザは恥ずかしい時にいつもこの仕草をするのを私は知っている。
「あ、ん…っ」
太ももの真ん中の、少しでも動けば髪の毛と同じの色素の薄い茂みが細い布から見えてしまう場所を、指先で引っ掻くようにして触ると、そこはすでにしっとりと濡れていた。
「やぁ…っ、旦那様…っ」
「なあにリザ?気持ちいい?」
「んっ、気持ちいい、です…っ」
気持ちが良い時は、主人である私がしっかりと分かるように声に出せと教えたのを、リザはきちんと守っている。
リザは私より五つ年下の十五歳で、まだ子供であり、世間知らずな部分があって、父を亡くしてこの屋敷で働くことになるまでは何もない田舎でのんびりと暮らしていたような娘で、なぜ最近出会ったばかりの私に素直に従うのか、私には理解できなかった。
リザはもともと兄の使用人として雇われたために二週間ほど兄の元にいたのだけれど、富と名誉を持つ兄がリザを可愛がることに嫉妬したメイド達が、リザに嫌がらせを始めたのだ。
嫌がらせ自体は小さなものばかりだったけれど、細い体で耐える姿は何だか可哀想で、見兼ねた私が、ほかの者たちとリザの距離を置くために彼女を私専用の使用人にしたのだけど、まさかその事で私を恩人と思っているのだろうか。
あれは優しさではなく気まぐれだ。
リザを初めて抱いたのもほんの出来心だった。
リザはまだ男を知らず、しかし、身勝手に処女を奪った私のことを、なお旦那様とリザは慕う。
正体の分からない少女の忠誠心には首を傾げるものの、身を委ねられるのは相当な快楽になり、リザが二度達するまで私は夢中でリザの中心を指先で愛撫した。
指でシーツをきつく握り締め、顔も体も汗まみれのリザは苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。
二回目に絶頂を迎えて甘い声を出しても、腕を折らずにきちんと体を支えられていたご褒美に、今日は私がリザの下着を脱がせる。
呼吸を貪る度に大きく上下する肩や腹に指を這わせ、水分を吸ってすっかり重くなった下着を取り去りシーツの上に放る。
「次は私のを頼むよ」
「…は、い…」
私がベッドの上に足を投げ出したのを合図に、裸のリザが私の膝の間に座り、私の服を脱がし始める。
普段私の着替えを手伝っているせいか、リザはてきぱきと無駄な動きなく私の服を脱がせて行く。
しかしズボンを脱がせるのはやはり恥ずかしいようで、その時ばかりは機敏な指先が鈍くなる。
「ほら、君のせいだ」
長い時間を掛けてようやく私の服を脱がし終え、ほっと息をついているリザの手を掴み、すっかり興奮している自身を握らせると彼女は熱を持った頬をさらに赤く染める。
リザは本当に汚れながなくて、そして潔癖な部分があるから、こういう悪戯は堪らなく嫌に違いない。
くつくつと笑いながら腕を伸ばしてサイドテーブルから避妊具を取り、リザに手渡す。
リザの口の中でうんと可愛がってもらうつもりだったけれど、早く彼女の中に入りたくて仕方がないため、それはまた次の機会だ。
すっかり猛る雄にぎこちない動きで避妊具を着け終えると、リザは私の足の間で膝立ちになった。
左手を私の肩に、そして右手で恐る恐る根元を握って支え、リザがゆっくり腰を落とすと、私が入り込みたくて堪らない場所に避妊具を被った先端がぶつかる。
これも私が教えたことで、誘うように涎を垂らす女の部分に、リザは不器用に熱い先端を擦り付ける。
経験の浅い君はしっかりと濡らしておかないと痛い思いをするだろうと、リザの体を気遣う体を装い、この方法を提案したのだけれど、私はただ彼女が私の体を使って自分を慰める姿を見たかっただけだ。
「ひぁ…っ、あ…っ!」
一生懸命に腰を小刻みに揺らして、入り口に熱い塊を擦り付けようとするけれど、なかなか難しいらしく見当違いの場所へ当たってしまう。
腰を大きく動かしすぎたせいでリザから溢れたもので濡れた先端が一番敏感な芽の方へ滑ってしまう度、彼女は私の肩にしがみ付いて喘ぐ。
「リザ…もう、いれたい」
性器と性器を擦り合わせて、手の甲までどろどろに濡らして、溢れたものを私に塗りたくるリザの姿はあまりに淫らで、つい余裕のない声が出てしまった。
リザはこくりと小さく頷くと、雄を掴んだまま、ゆっくりと腰を落としていく。
「あ…っ、あ…!」
リザがずぶずぶとおいしそうに私を飲み込んで行く。
ようやく待ち望んだ熱い肉に包まれると、思わず深くため息をついてしまった。
「全部入ったね」
「…はい…っ」
まるで私を食べるかのようにすべてをリザのお腹の中に沈めたあと、私の足の間に膝を立てて座る彼女は、ぺたりと尻をシーツについた。
そして、恐らく毎回無意識だと思うのだが、リザは私の肩に置いていた手を背中に回し、体の力を抜いてぐったりと私に寄りかかった。
リザの中に入り込んだあとは私が命令も忘れて一人で好き勝手に動くため、彼女は私を体の中に導くまでが仕事だと認識しているのかもしれない。
するべきことを終えたリザが無防備に気を抜く瞬間が私は好きだ。
「頑張ったね。今日も良くできたじゃないか」
「…旦那様…」
嬉しそうに目をとろりと細めるリザの背中に腕を回して抱き締め、その体勢のままゆっくりと彼女の体をシーツに横たえる。
リザの白い足を抱え込んだあとは、いつも本能のままに腰をめちゃくちゃに動かすだけだ。
私の腹の上で自分で動くリザを早く見たいけれど、こういう行為が苦手で控え目に腰を揺らすであろう彼女を愛でる余裕は、今の私にはない。
とにかく今はリザの中をぐちゃぐちゃに掻き回したい。
「旦那様…っ、旦那様ぁ…っ!」
がくがくと揺さぶられるリザは壊れたように私の名前を呼び続け、そんな彼女の切ない声を聞いていると、気持ち良いはずなのに胸が締め付けられる。
性行為に慣れてないリザの体はまだ痛みを感じるのかもしれないし、そもそも中を突かれたって気持ち良くなどないのかもしれないけれど、彼女は絶対に嫌がらなくて、その健気さが背中を馬鹿みたいに痺れさせる。
これが人を愛おしむという気持ちなのかもしれない。
「愛している」という立派な感情は存在しないけれど、私はリザを気に入っていて、可愛がりたかった。
憎らしい屋敷の中でただ気分に任せて生きてきて、リザを私専属の使用人にしたのも、彼女を抱いたのだって気まぐれだというのに、明日も彼女を抱くことだけは確実で、実は私は相当彼女にのめり込んでいるらしい。




 


初めて抱いた時、リザは、控え目な表現をすれば、質素な黒い下着を身につけていた。
布がよれていて、おまけにブラジャーはサイズが合っていなかった。
しかし、丸い胸が小さな下着の中にきつそうに収まっている様子はずいぶんと興奮したものだ。
リザが眠る横で、床に落ちた下着を拾い上げて弄びながら、くたくたの下着を着けていることが問題なのではなく、サイズが合っていないのはいけないなと一人考えた。
なので、リザを抱いた次の日に早速、疲れ果てて寝ている彼女を起こさないまま、下着を買いに行ったのだ。
白や水色の清楚な下着も良いけれど、まるで紐のように細い下着におおいに心惹かれて、実用性ないものばかりを買ってしまった。
下心丸出しの下着を渡されても、リザは嬉しそうにはにかむだけで、昨晩処女を奪った私を嫌悪する様子は見せなかった。
憎まれても仕方が無いと思うことを散々してきたけれど、嫌われてしまうだろうという予感がまったくしないのは、リザがあんな笑顔を見せるからだ。
あとは、そうだ、あれもあるし。
リザを初めて抱いた夜から、毎晩続けて私は彼女をベッドに連れ込み、彼女が気を失うまで執拗に体を貪っている。
リザは体の後ろに手をつき、立てた膝を大きく開いて、その姿は私に体を差し出しているように見える。
恥ずかしさのあまり目を伏せて、しかし抵抗はせず、まるで生贄のように私に食べられるのを待っている。
リザは今日は肌が透けるほど生地が薄い白の下着を身につけていて、男を誘うためのそれは布が少なく、まるで紐が彼女の体に巻き付いているように見える。
「リザ、口を開いて」
言われた通りにリザはゆっくりと唇を開いた。
顔を近付けて下唇を甘く噛み、そして唇の間からちらりと覗く小さな舌をわざと音を立てて吸い上げる。
「きゃ…っ」
「おっと」
口付けに夢中になっていた私はいつの間にか前のめりになっていて、私が寄り掛かったせいでリザは体重を支えられずに腕がかくんと折れる。
咄嗟に背中に腕を回し、シーツに倒れこみそうになるリザの体を慌てて支える。
「旦那様、ごめんなさい…!」
「今のは私が悪いよ。今日はこっちにおいで」
腕を折るなという言いつけを守れなかったことを必死に謝るリザに、気にしなくていいと言いながら額に口付けた。
こういう従順なところが本当に可愛らしいのだ。
たまにはリザに見下ろされるのもいいと思い、リザを足の間に座らせて膝立ちをさせる。
口を開いて舌を突き出すと、リザは惹きつけられるように顔を近付け、自分の舌を絡める。
「んう…っ」
リザは私の肩を両手で掴み、熱心に口付けを施してくれているけれど、されているばかりの私は手持ち無沙汰で、何気無く彼女の背中に腕を回す。
背中や尻を手のひらで撫でると、リザの唾液と一緒に甘い声が私の唇に流れ込む。
「ん…、ん…っ」
尻たぶを軽くつまむとリザの体がふるりと震えて、それでも彼女は快楽に負けじと懸命に口付けを続ける。
「ん…?」
「やぁ…っ、あ…っ」
「…すごく濡れてる」
「……え?」
尻を撫でていた指で下着をずらし、茂みの中に指先を差し込むと、そこはもう指がぬるりと滑るほどに濡れていた。
私の指が下着の中に入り込んだことに驚いたのか、リザはついに唇を離してしまった。
「まだ何もしてないのに、ほら」
指先で円を描くようにしてぬかるむ場所をくるりと撫でると、リザの耳や首がさあっと赤く染まる。
恥ずかしさのあまりリザは私の肩に顔を伏せて逃げようとしたけれど、頬を両手で挟みこんで彼女を捕まえる。
「前から思っていたけれど、リザは背中を触られるのが好きなのかな」
羞恥に唇を震わせるリザは、観念したように小さく頷いた。
背中を撫でるとリザの中に入り込んだ私を急に締め付けてくるから、弱い場所なのかと以前から気になっていたのだ。
「背中だけではなくて…。あの、旦那様の…手が、とても気持ちよくて…」
目を伏せながら、ひどく小さな声で、ぽつりぽつりとリザが白状していく。
「私の手が?じゃあ背中だけが特別気持ちいいわけではないのか」
「はい…。強く触れられると…」
「私に強く触れられるとどうなるのかな」
「…お腹が、はしたないくらい熱くなるんです…」
リザの弱点を探し当てたいだけだったのに、まさかこんな欲を煽る答えを聞けるとは思わなかった。
下半身が急に熱を持ち、早くリザの中に入り込みたいと強請る。
「それで、こんなに簡単にも濡らしてしまうのか。私の可愛いメイドがまさかこれほどいやらしいとは驚いた」
「…旦那様…」
わざと呆れたように放った言葉に傷付いたのか、リザの瞳にとうとう涙が浮かぶ。
「…旦那様、ごめんなさい…」
「いやらしいリザが可愛くて好きだよ、私は」
「…本当に?旦那様、本当ですか?」
瞬きする度にリザの瞳から涙が零れ落ちる。
捨てられた子犬のように不安でいっぱいの二つの目に見つめられると堪らない。
「本当だよ。だから泣かないで、リザ。泣く君が色っぽいから変な趣味に目覚めそうだ」
顎を伝う涙を舌で拭うと、くすぐったいのかリザが身をよじる。
「いっぱい触ってあげるからね、リザ」
「…ん…」
人差し指と中指を足の間に差し込み、細かく前後に動かして指の腹で下着に染みを作っている部分を擦る。
もう片方の手でもう一度背中を撫で始めると、リザが堪らないという様子で私の肩口に顔を埋めた。
「やぁ…っ、旦那様ぁ…っ!」
リザはただ触られるよりも、手の平で強く揉むように撫でられるのが好きらしい。
手の平が背中を這う度にリザは悩ましげな声を上げて、彼女は私の肩に置いていたはずの腕を首に回し、しがみつく。
「あっ、気持ちいい…っ」
リザが喘ぐ度に熱い吐息が首筋をくすぐる。
「いいの?リザ」
「はいっ、旦那様…、きもちい…っ!…だめですっ、これ以上はおかしくなっちゃう…!」
いつも唇を噛み締めて声を我慢するリザが、思いつくままに口にして喘ぐのは珍しい。
「だめ、だめ…っ!」
背中を軽く指で引っ掻き、同時にどろどろに濡れた下着の中でぷっくりと腫れている芽を摘み上げると、リザが首を仰け反らせてひときわ大きな声を上げた。
リザは私の首に抱きついたまま荒い呼吸を繰り返し、目を閉じて顔を肩に埋めて、達したばかりの体を落ち着けている。
「リザ」
「あぁ…っ」
下着を力任せに上に引っ張り上げると、涎を垂らしててらてらと光る性器に細い布がまるで縄のように食い込み、リザの体が苦しげに跳ねた。
「まだ私に隠していることがあるだろう。言ってごらん」
「…違います、隠していたわけではなくて…っ、やぁっ!」
「言うんだ、リザ」
口答えはするなと言わんばかりに、再びぐいと下着を痛いほどに引っ張り上げる。
「私…っ、んっ、旦那様を、抱き締めるのが、好きです…っ」
「やっぱりね」
箍が外れたように喘ぎ、そして太ももまでびっしょりと濡らし、相当に気持ち良いらしいリザが、うっとりと嬉しそうに私の首に縋り付いているように見えて、まさかと思ったのだ。
「どうしてかな、リザ」
「理由は分からないですけど…旦那様の匂いも体温も、あと体の形も厚みも、全部好き、です…」
リザの紅茶色の瞳は快楽に潤んでいるものの私を見つめる視線は真剣で、彼女の熱い眼差しが急に気恥ずかしくなり、咄嗟にリザの柔らかな胸に顔を埋めて視線から逃げる。
リザは照れ屋のくせに、こういうことだけはさらりと言えてしまうのはずるい。
リザの痴態を頭のてっぺんから爪の先まで余すことなく見るのが好きで、体を密着させずに少し距離を置いて眺めていたけれど、今までずいぶん勿体無いことをしていたのかもしれない。
処女を奪い、さらに理不尽な命令ばかりする私はとっくに嫌われてもおかしくないのに、むしろ好かれていると自惚れてしまう理由はたくさんあって、例えばリザがこんなことを言うからなのだ。




 


他人の干渉が鬱陶しくて、小言などもってのほか。
自分の領域に足を踏み入れられるのが大嫌いなのだが、誰かの手を借りないとあっという間に人の住めない部屋になるのが情けない。
掃除ができず、そして生まれてから一度も台所に立ったことのない私は、生意気なことを言っているものの他人に助けられないと生きていけない。
父や兄のように、甲斐甲斐しく世話を焼く使用人を常に側に置いていたことはないが、いつも手の空いているメイドを見つけて洗濯や掃除を頼んでいた。
専属の使用人を置くのも、他人が四六時中私の部屋にいるのも今回が初めてなのだが、驚くほどに何の不満もなくうまくいっている。
きっと相手がリザだからだ。
父が研究者だったせいか、同じ分野の研究をしている私との距離の取り方をよく分かっている。
本を読み漁ったり書き物をしたりする時、同じ部屋に他人の気配を感じると邪魔にしか思わないが、リザならば平気だった。
少し休憩を取ろうと思ったタイミングでちょうど良くお茶とお菓子を持って来てくれるなんて、神業としか思えない。
「…リザ」
机に突っ伏してメモ用紙の束に顔を突っ込みながら、私の可愛いメイドの名前を呟く。
集中できなくなるとこうして紙束に顔を埋める私を、リザはいつも眉を下げた困った顔で眺める。
リザは決して私の邪魔をしない。
リザは小言を言わなくて、歩く音すら静かで、寂しいほどに控え目だ。
いい年をした男がだらしなく机で寝ているのだから、叱ってくれても良いのに。
私の言動を決して否定せず、どんな理不尽な命令にも従うリザは、まるで私が親だと刷り込まれた雛のようで、そんな彼女が私を叱ることはできないだろう。
ああ、リザと遊びたくなってきた。
リザは清楚なメイド服の下にいつも露出の高い下着を身につけていて、スカートをめくり上げて今日はどんな下着を着ているのか確認するのが楽しい。
膝枕をしてもらって、スカートの上から指で下着の線をなぞるのも好きだ。
いやらしいことをしなくても、ただリザに身の回りの世話をされるだけでも十分に満たされる。
リザは二週間ほど兄の元で働いていたせいで、彼女は兄に要求されたことがメイドの仕事だと思い込んでいる。
着替えや入浴の手伝いも、食べ物をスプーンで口元に運ぶのすら、兄は一人でせずリザにやらせていて、そして彼女は私にも同じことをしようとする。
私はそれくらいは一人でできるし、何より兄と同じことをされるのは嫌で、頑なに断ってきた。
しかし、リザに甲斐甲斐しく世話を焼かれるのも悪くないとふと思い立ち、今はたまに着替えや食事の世話を頼んでいる。
私のズボンを脱がす時、最初は仕事だと割り切っているのに、だんだん恥ずかしくなって頬を赤くするリザが愛らしくて堪らない。
「リザ」
今度は大きな声で呼んでみる。
そろそろお菓子を持ってきてくれてもよいはずなのに。
リザは今何をしているのだろうかと思いながら書斎から大部屋に向かうと、ソファーに彼女が座っているのが見えた。
声を掛けようとして咄嗟にやめる。
ボタンの取れた私のシャツと針を手にしたまま、リザは眠っていた。
そりゃあ疲れるはすだ。
リザは、私が書斎に閉じこもっている時や寝ている間に自分の食事や入浴を手早く済ませてしまって、残りの時間はすべて私に捧げているのだから。
二十四時間ずっと私の側にいて世話をしていて、それだけでも大変だろうに、毎晩気を失うまで貪られたら体がいくつあっても足りない。
リザの指から、怪我をしないようにシャツと針をそっと抜き去る。
リザの体を抱き上げてベッドに運び、起こさぬように慎重に体をシーツの上に寝かせた。
ローファーを床の上に放り、エプロンを脱がせてワンピースのボタンを緩める。
「だんなさま…?」
リザの隣に横になり、彼女の体を抱き締めて短い髪を撫でていると、彼女がゆっくりと目を開けた。
「ごめんね、起こしてしまったかな」
「…ううん…」
リザは敬語が抜けていて、どうやら寝ぼけているらしかった。
「旦那様、もうすぐ、お菓子の時間…」
「うん。あとで持ってきてくれ」
「…はい…」
性行為中に背中を少し強めにさすられるといつもリザは気持ち良さそうに喘いでいて、同じように撫でてやると彼女がうっとりと目を閉じる。
とても寂しいけれど、リザの一人の時間をしっかりと作ってやらないといけない。
年頃なのだから編み物や菓子作りが好きだろうし、読書だってしたいかもしれない。
私の世話ばかりをさせてしまって、リザの体のことを考えていなかったと反省する。
真面目なリザは居眠りした自分をひどく責めるだろうから、彼女が起きたら、私が昼寝をしたかったのだと言い聞かせよう。
これからリザの自由な時間だけではなく、昼寝の時間も設けようかと考える。
仕事中に寝るなんてとリザは断るかもしれないが、抱き枕代わりになって欲しいと私が頼めば、彼女は渋々頷くだろう。
いろいろ考えはあるのだけれど、まずはリザが起きたら彼女に謝らないといけない。
「…旦那様…」
背中を撫でられているのが気持ち良いのか、まるで喉を鳴らす猫のように寛いで、スカートがずり上がるのも構わず私に足を絡めてくるリザが起きたら、抱いてしまうから。




 


「リザ、この本を読み終わったら寝るから、先に休んでいてくれないか」
「……旦那様」
風呂の準備ができたと書斎まで呼びに来たリザの目付きがわずかに険しくなる。
紅茶色の丸い瞳が、不満そうにすっと細まる瞬間が私は密かに好きだったりする。
「…この前も、ちゃんと寝るからって言っていたのに、本に夢中になって結局朝まで起きていたじゃないですか。ちゃんと休まないと駄目です」
いつも従順なリザが私に意見するのはとても珍しい。
私の体を心配してくれるのは嬉しいけれど、しかし今はこの本を読んでしまいたい。
「ちゃんと寝るよ」
「旦那様が起きているなら私も起きています。私は旦那様のメイドなんですから」
「それは駄目だよ。一日頑張ったリザはきちんと休まないと。私は君の主人なんだから、君は言うことを聞かないといけない。いつもみたいにいい子にできるだろう?」
「……はい。先に休まさせていただきます」
聞き分けのいい言葉とは裏腹にリザの頬が不機嫌そうに膨らんでいて、手を伸ばして思わず指の先で突ついてしまう。
リザが不満なのをこんなにも分かりやすく表に出すことは滅多にない。
「何かあったら必ず呼ぶから」
「旦那様、絶対ですよ?お風呂に入りたい時も、紅茶が飲みたい時も、膝枕をして欲しい時も、ちゃんと呼んでくださいね」
「うん、分かってるよ」
リザは腰を屈めて椅子に座る私に近付くと、おやすみの口付けを頬にして、彼女は書斎を出て行った。

読み終えた本を閉じ、椅子に座ったまま背伸びをする。
ふと窓の外を見るとすでに空が明るくなってきていて、あっという間に朝が来たことを知る。
結局私はまた夢中になり朝まで本を読み続け、そしてリザを呼ぶこともなかった。
約束を破っておきながら、ずいぶん身勝手だけれど急にリザが恋しくなってしまって、足早に彼女の部屋に向かう。
いつも二人で眠る寝室にリザの姿はなくて、その奥にある彼女の部屋でリザは寝ているらしい。
「リザ」
リザの部屋を開けて目に飛び込んできた光景に、扉のところで立ち尽くしたまま目を丸くする。
リザは、彼女が気に入っているかぼちゃパンツのパジャマを着ていて、まるで猫のように体を丸めて眠っており、それがあまりにも愛らしいのだけれど、どうしても予想外に乱れているベッドの上に視線がいってしまう。
膝を抱き寄せるようにして眠るリザに布団などは何も掛かっていなくて、ブランケットはベッドからずるりと垂れ下がり、ほぼ床に落ちかけていた。
リザは寝相が悪い訳ではないけれど、大人しくじっと寝ているわけでもないことを思い出して、吹き出しそうになってしまう。
リザを抱き締めて寝ているとたまに足で軽く蹴られることもあって、よく動くせいでブランケットが体から落ちたに違いない。
笑いを堪えながらベッドの端に腰掛け、白いふくらはぎを手の平で撫でる。
丸く膨らんだズボンの裾にレースがあしらわれており、袖もパフスリーブになっていて、小さな子供が着るようなデザインも、真っ白な布の色も、清純なリザそのものだと思う。
大人しくて真面目で控えめで、しかしそんな姿に似合わないお転婆な寝相をしていて、そこがまた可愛らしい。
「大胆な寝相じゃないか、リザ」
ずり落ちているブランケットを拾い上げて一緒に被り、リザを背中から抱き締めて横になりながら、彼女が目を覚ましたらうんとからかってやろうと決めた。




 


私のことを舐めてもいいし噛んでも構わないよと言ったら、リザは本当に歯を立てて肩に噛み付いた。
控えめなリザのことだから遠慮するだろうと思ったけれど、予想外にも彼女は私の肌にしっかりと赤い痕を残していく。
私の膝の上に跨って座り、鎖骨の下を小さな舌で丁寧に舐めてから、リザは恍惚とした表情でまた肌に吸い付いた。
「ん…っ」
リザの背中を指先で軽く引っ掻くと、彼女の中がきゅうっと狭くなって、痛いくらいに私を締め付ける。
私の上に乗るリザはろくに動いてもいないのに、彼女の中から溢れたもので結合部はひどく汚れている。
「だんなさまぁ…っ」
手の平で背中をさするだけでリザは甘い声を出し、喉を仰け反らせて何度も私を呼ぶ。
肌を吸う余裕がないらしい唇に人差し指を差し込むと、嬉しそうに舌が出迎える。
だめ、だめ。
リザはそればかりしか言わなくなってしまったけれど、駄目と言うわりには、まるで離すまいとするように膝を立てた脚が私の背中に絡みついている。
「あぁ…っ、んっ…、きもちいい…!」
私の背中に爪を突き立てて、リザが目尻に涙を浮かべて喘ぐ。
腰を浮かせて下から軽く突き上げるだけで、リザは悲鳴を上げて達してしまった。
体から力が抜けたリザは崩れ落ちるようにして私の胸に寄り掛かる。
肩を大きく上下させて荒い息を繰り返すリザの背中をなだめるようにさすると、彼女の体が堪らないといったようにびくりと跳ねる。
「…ん…、もっと…」
ひどく緩慢な動きで顔を上げて、リザは涙が滲む瞳で私を見上げる。
うっすらと開いた唇も、桜色に染まった頬も、顎に滴る汗も、今夜はいつもに増して色っぽい。
リザが体の形を確かめるように触れられるのも触れるのも好きだということは知っていたけれど、まさかここまで乱れるとは思わなかった。
「…もっと…して、ください…」
恥ずかしいだとか、ふしだらであるとか、そんなお行儀の良い考えは今のリザにはないようで、ただ気持ち良くなりたいということだけが頭にあるのだろう。
少し面食らったけれど、いやらしい君もいいじゃないか。
驚きを表に出さず、リザの望み通りに再び背中に指を這わせた。




 


ベッドの端に腰掛けて座り、リザのショートヘアに触れて、柔らかい髪の毛が指の間を撫でる感触を楽しむ。
私の足の間で膝立ちになっているリザは時折上目遣いで私の様子をちらりと伺っていて、私がどんな具合か気にしている健気な様子に思わず笑みが零れる。
「大丈夫、上手だよ。気持ちいい」
安心したように目を細める様は可憐な少女そのもので、しかし白く細い指は私のグロテスクなものに絡みついており、その倒錯した光景にくらくらと目眩がしそうだ。
リザは唇で吸ったり胸で挟んだりするのではなく、先端を柔らかな乳房に押し付け、ひたすらそこに擦り付けていた。
熱くて固い先端が、白い肌に突き刺さり、年齢の割にふくよかな胸がぐにゃりと歪んで形を変える。
しっとりと汗ばむなめらかな肌の上をなぞり、そしてまろい膨らみを押しつぶして、凶悪な塊が胸を犯す様子は堪らなく興奮を煽る。
「…はぁ…っ」
ぷっくりと尖る乳首に先端を押し当て、まるで円を描くようにして擦り付け始めたリザが甘い吐息を漏らす。
リザは無意識かもしれないが、先ほどから彼女はもじもじと膝を擦り合わせていて、私を愛撫しながら気持ち良くなっているらしい姿に余計に背中がぞくりと震える。
リザの体を隠す布はショーツのみで、きっとそれを脱がせる頃には恥ずかしいくらいに濡れているに違いない。

呼吸をする度に微かに上下する胸がどろりとした白い液体で汚れている。
リザは疲れてしまったのか、ぺたりと床に尻をつき、私の膝に頭を寄り掛からせている。
荒い呼吸が静まってからリザの顔に手を伸ばし顎を掴んで上を向かせると、熱っぽい眼差しが私を見上げる。
「いい子だよ。よくできたね」
照れたようにはにかむ様は、まるで性交を知らない純粋な子供のようで、あどけない顔をするリザがあまりに眩しくて、少しだけ罪悪感を覚えてしまう。
私にしか抱かれたことがなく、そして性の知識に乏しいリザは、私が教えることが普通だと思っている。
少女の真白な胸をひたすら汚して楽しむこの行為が、口の中や胸の谷間での愛撫に比べたらあまり一般的ではないと知ったら、リザはどんな顔をするだろうか。



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